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2024年7月の1件の記事

2024年7月23日 (火)

アンテナ切替器(3:1リモートタイプ)の製作

 アンテナメンテナンス時に、給電同軸の編組が黒化しているので交換しなければと指摘を受けました。使用している給電同軸はシャックからアンテナまでおよそ50mで、種類は5D2W、7D2V、多重シールド同軸で15年以上経過しているハズです。

アンテナはTH7DX(14-28MHz)、TD-1230S(10-24MHz)、CL6DXX(50MHz)の3系統ですので、全同軸交換となれば150mは必要となります。

最近、銅の値段高騰とのことで、安価な同軸8D-FB(発砲ポリエチレン)など1本で給電し、鉄塔上部に切替器を取りつけ、シャックからリモートで制御する方法を提案してくれました。

Ant-swer-8_20240725134501
Antenna SWer Remote System

 アンテナ切替器の購入をWebサイトで検索しましたが、自作を思い立ちリレー、コネクター、基板を通販に発注したのでした。リレーやコネクターを基板で挟み込んで仕上げ、シャックからリモートで切替する構想でした。

Ant-swer-7


Ant-sw-15

 アンテナ切替器の構想

 ADXAメンバーより基板に同軸コネクターの直付け構想はアンテナ給電同軸の接続時に軟弱すぎるとの指摘があり、方針転換、ジャンクのクロームメッキ鉄箱にN-J(送信機側)、M-J(アンテナ側)コネクターや端子盤TB(切替制御)を取り付け、N-J、M-J間を切替リレーでブリッジさせた頑丈なアンテナ切替器(1回路3接点)として製作しました。リレーの接点端子と碍子端子板(12Pin)の間隔は樹脂パイプスペーサーをカットアンドトライで細かく調整しました。

Ant-swer-9

N-J~リレーG4A(オムロン)×3~M-J×3
リレー固定の碍子端子(12Pin)×2

 アンテナ切替制御はタワー上部から敷設した6P 50mケーブル経由で、シャック内に取り付けたコントロールBoxで操作します。コントロールケーブルは避雷を目的に4Pコネクターを抜き差しします。


Ant-swer-3_20240725103201


アンテナ切替器リモコンBox
リレー電圧供給 DC12V(外部電源 AC100V-DC12V/1.5A
 

 製作調整と1ヶ月近く掛かり、アンテナ切替部は完成です。しかし、ウォールボックス(外箱)の選択や同軸ゲーブル、コントロールケーブル仕入れはこれからです。着工は9月中旬を目途にします。


Ant-swer-1
アンテナ切替部(タワー上部) コントロール部(シャック内)

 

 リレーとRFコネクターの配線には高周波電流(表皮効果)を考慮し、0.3mm厚の銅板を加工、面積の大きな配線によりL分(インダクタンス)を抑え、特に50MHzではより幅広く加工した銅板のC分(キャパスタンス)でL分をキャンセルさせ、Z=R±jX式のjXリアクタンスによる損失を少なくしZ=R(50Ω)VSWRを改善しました。

また、N-JからM-Jコネクター間に銅箔をコの字に敷いてアース周りの導電率を強化しました。リレーG4A(オムロン)の接点電流20A、接触抵抗100mΩ以下の規格ですので、RF出力1kW/50Ωの負荷電流は4.47Aでリレーの電流容量は十分なハズです。

Ant-swer-5
特長:右M-Jの中央ANT2の配線銅板の加工

 
☆特性測定結果 Nano VNA H4
Nano VNA → TX N-J、DL 50Ω → M-J
ANT1 28MHz 52.22+j1.29
ANT2 50MHz 53.27+j1.162 → 配線銅板変更後 53.62+j470mΩ(※リアクタンス半減)
ANT3 10MHz 51.23+j562mΩ

☆耐電力試験
1.50MHz/1kW 15秒間の送受信くり返し、1分間にて耐電力試験の実施
2.試験機器 TRx:IC-7610/JRL3000F、電力計:CN-501H、疑似負荷:50Ω
3.試験結果 Power≒1kW、SWR≒1 ANT1-3 全て良好(G4Aリレー温度変化無し)

☆アンテナ切替器の部品
1.ジャンク鉄箱(クロームメッキ仕様) W:95mm D:110mm H:140mm 厚さ:1mm
2.リレーG4A(オムロン) 12V(接点電流 20A、接触抵抗 100mΩ以下)×3
3.碍子端子板(12Pin)×2(リレー固定用)
4.同軸コネクター N-J×1、M-J×3
5.端子盤4P(リレー制御)×2
6.配線用の銅板×1
7.リモコンBox(TAKACHI SPG-135A 電池Box付)
8.ローターリーSW 1回路12接点 ストッパー付き
9.LED 赤×1 緑×3
10.ジャンク4Pコネクター プラグジャック
11.ビスナット、樹脂スペーサー、接着剤など

☆アンテナ切替器の製作要点
1.リレーの接点電流Iは√P/Rで算出、接点電流に余裕のあるタイプとする (P:出力電力、R:同軸インピーダンス)
2.リレーの接触抵抗の小さいタイプとする
3.同軸コネクターとリレー接点間は短く配線する
4.同軸コネクターとリレーの高周波経路の配線は板状とする
5.同軸コネクターに数本の同軸ケーブルを差し込むので頑丈なケースを使う

Ant-swer-remocon-sys_20240729101801

Antenna SWer 3:1 Control System 図面

 下の写真はタワー上部に取り付け予定のウォルボックスWB-13AOJ(未来工業) H:315mm W:384mm D:167mmへAntenna SWer Boxを木板ベースに取付た様子です。

8DFBケーブルをストレートに通すためにウォルポックス下部のセンターに25φ(25mm)の通線口を開けました。設置場所の冬場は連日30m位の北風が吹き荒れるので、取り付けは扉を北方向にします。


Wb13aoj
WB-13AOJ木板ベース付 Antenna SWer Box取付

 かくして、SWer Boxを取り付けたウォールボックスは9月初旬にタワーへ固定され、8DFB、4Pコントロールケーブル、各アンテナからの5D2W短同軸3系統を通線し完成しました。シャックからのアンテナ切替のコントロールも順調で、各バンドでチェックを兼ねてDXペデション局やNewを追い掛け1kWで稼いでいます。新たに敷設した8DFB給電同軸では、黒化した給電同軸5D2Wより2dB程感度アップしています?


Ant-swer-3_1-wb_13aoj
KT22Rタワーに取り付けたAntenna SWer 3:1
Ant-swer-volt-meter
アンテナ切替器リモートBox(+電圧計)

  取付工事完了後に雷注意報が発表されると不安が過ぎります。内臓のリレーG4Aは通過電流20A、耐圧8.5kVとのデーターですが、やはり耐久性には不安があります。日々、リモコンボックスの電源とコネクターは抜くようにしていますが、故障などに備えてAntenna SWer Boxの予備を製作しようと企ててます。###



【追記】
 Antenna SWer Box予備製作が半月ほどの日程で完成しました。ジャンクの鉄箱は140mm(H),175mm(W),50mm(D)の薄型なので、リレーの取付(空中配線)を工夫してみました。

Dscn1505

Antenna SWer 3:1 予備器(上下)


Dscn1504
リレーG4A 布線銅板 M-J/N-Jなど内部の様子

 リレーの取り付けを横にして、鉄箱とリレー端子間のスペースを確保しました。M-Jから圧着端子を利用して接点端子へ半田付けし、リレー位置やよじれを補正しています。(空中配線)

N-Jと接点端子間は銅板を写真のように加工、敷設したので、長さと幅広から回路特性Z=R±jXのリアクタンス部が上手くキャンセルされると想定しました。測定結果はキャパシティブとなり、銅板を丸く刳り抜たりアース板との隙間を調整してリアクタンスを最小にしました。

予備器の特性(測定器 NANO VNA H4)
TX: DL 50Ω 51MHz
ANT1: Z=49.08Ω-j28mΩ
ANT2: Z=48.72Ω-j1.23Ω
ANT3: Z=49.08+j267mΩ

 ネジロックや銘板を貼り付け、既設のリモコンボックスと接続してダミーロードでANT1~3系を送信出力1kWにて最終チェックを行い、Antenna SWer 3:1の予備として保管します。

予備器への交換はタワー上部に設置したウォールボックス(WB-13AOJ)内のAntenna SWer Boxの同軸やコントロール線を外し、機器取付け木板ベースごと降ろし、地上で作業する予定です。(機器故障皆無懇願?) ### 

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